2021年4月8日(木)に行われた第9回オンライン公開講座「ビールの話」の4回目「質問コーナー」です。聴講者様からはゴルフ帰りの打上げで飲んだビールのことや、せんべろの街赤羽で見聞きしたこと、ヨーロッパ旅行で飲んだビールの味など多岐にわたりご質問をいただきました(注:4月8日のご質問ですので、ニュース性としては少し古くなったものもあります)。
また、今回のシリーズも最終回の投稿となり、1回目~3回目のお話しに関連した質問もありますので、初めにご覧いただいておくとより分かりやすいかと思います。
第9回オンライン公開講座「ビールの話」1/4 - 笑楽日塾の事件簿
第9回オンライン公開講座「ビールの話」2/4 - 笑楽日塾の事件簿
第9回オンライン公開講座「ビールの話」3/4 - 笑楽日塾の事件簿
≪④質問コーナー≫
Q:今日のインターネットのニュースで『アサヒビールは缶の蓋を開けると泡が吹きあがってくる缶ビールをコンビニで売り出した。大変な人気で品切れ続出ということで20日からは地元のスーパーでも扱うようになる』と言っていました。サッポロビールでもこれを出す予定はありますか。
A:アサヒさんはスーパードライで販売され話題になっておられるようですが、似たようなタイプのものは当社に限らず昔から取り組んでいました。機能としては当社でもできるノウハウは持っていますので状況を見ながら考えていくのかなと思っています。
Q:ある日ゴルフを楽しんだ帰りに8人で馴染みの居酒屋に繰り出したのですが、今まで飲んでいた生ビールと違った味に違和感を覚えてしまい、全部取り替えていただいたことがありました。新たに持ってきた生ビールはいつも通りで大変美味しくいただきましたが、この原因は先ほどご説明いただいたようにカランまたはグラスが汚れていたためでしょうか。
A:おそらく今おっしゃられたことが考えられ、カランと樽を繋ぐまでの間のビール回路の洗浄不良が一番の原因だと思います。私たちはお客様に美味しいビールを楽しんでいただくため、飲食店さんには毎日営業開始前と終了後には最低でも水通し洗浄をお願いしています。回路の中に溜まっている残ビールが時間と共に野生の酵母菌と反応し、少しずつ発酵や酸化をして味が落ちてしまうことがあります。
飲食店での味のトラブルにも、グラスやジョッキの洗浄不良のため油分が付き、綺麗な泡が立たずに味が落ちてしまったものがあります。
Q:サッポロさんは黒ラベルとエビスビールは有名ですが、赤羽あたりの立ち飲み屋さんの前には『赤星が飲めますよ』と書いた看板が目立ちます。この赤星について教えてください。
A:正式名称は「サッポロラガービール」という名前です。現在日本で売られているビールはほとんどが生ビールで、ラガービールとして現存しているものは「サッポロラガービール」と「キリンクラシックラガー」の2アイテムだけになりました。
ビールは、麦とホップと水をアルコール発酵させて作ります。出荷する時期は発酵の状態が一番良い時に行う訳ですが、それ以上発酵を進めないために止めなくてはいけません。以前は出荷する前に少し温水をかけ、熱を加えることにより酵母菌の働きを死活させて出荷しました。生ビールはフィルターを通して酵母菌を取り除くため「熱は加えない」という意味で生ビールと呼ばれるようになり、今はこのタイプのビールが主流になりました。
とはいえ、キリンとサッポロのラガービールはオールドファンに支えられて今日まで生き残ってきました。しかし、最近は若い方々の間でもデザインのカッコ良さと味の美味しさが見直されてラガービールの出荷量も増えています。
Q:私は東南アジアに仕事とか旅行で行きますけど、マレーシアにはアンカー、シンガポールはタイガー等々各国に色々なビールがあります。いったい世界には何種類くらいのビールがあるのでしょうか。
A:ビールの種類は星の数ほどありますので私も把握しきれていません。世界的に見て今はビール業界の再編成が進んでおり、ランキングでは1位インベブ・2位ハイネケン・3位には中国のビール会社が入っています。人口10億人以上の中国はビールの消費も勢いが加速しているようです。
Q:私はアルコールを飲めないのですが、友達とヨーロッパへスキー旅行に行ったときにほんの少し舐めるくらい飲みました。私はもちろん友達も「美味くない、早く日本のビールを飲みたい」と言っていました。ヨーロッパのビールに比べて日本のビールは日本人に合うように作られているのでしょうか。
A:私も全世界のビールを飲んでいるわけではないのでコメントし難いところはありますが、唯一言えるのは、日本で私たちが発売して皆さんにご愛顧いただいているものはピルスナータイプと言われているものです。作り方は酵母菌が発酵するにつれてタンクの底の方に沈降していく、下面発酵ビールという名前のものです。また、日本は硬水よりも軟水の方が多いので軟水で作ることにより黄色い黄金色のビールになり、比較的すっきりした味わいのものが多いということだと思います。
また、ドイツの場合は法律で麦芽100%でないとビールと言ってはいけないのですが、日本の場合は米やコーンスターチといったでん粉類をビール麦と一緒に使っても良いと規定されています。麦だけで作ったビールよりもよりすっきりして飲みやすいものが出来ますので、この味に慣れた日本人は日本のビールが好きということになるかもしれません。
Q:ビールの中には炭酸ガスが入っていますがこの割合は各社とも同じでしょうか。
A:各社の炭酸ガスの割合は同じではないと思います。
Q:一緒ではないということはビールの蓋を開けた時、あるいはコップに注いだ時に泡のでき方がそれぞれ違うということでしょうか。
A:日本で作られているビールのガス圧は商品ごとに違うと言っても目で見て見分けがつくほどのものではありません。少し話しがズレますが、ビールの炭酸は後から入れていると思っている方が稀におられますが、ビールの原料は麦芽とホップと水を使って酵母菌で発酵させたものです。アルコールは発酵するとアルコールと二酸化炭素が作られますので、この二酸化炭素がビールの中に含まれている泡(炭酸ガス)のことで自然に出来たものです。
サッポロビールの場合はリボンシトロン、アサヒビールは三ツ矢サイダー、キリンビールはキリンレモンという商品があります。これらはもともとビール工場で作られるビールから自然に発生した炭酸ガスを集めて、炭酸飲料を作ったことが始まりと言われています。
Q:今私たちが飲んでいるビールは冷蔵庫で冷やしていますが、以前アフリカやイギリスに仕事で行ったとき、向こうのバーで出してくれるビールは冷えていなくて常温で出てきていました。これはお国柄の物 なのかそれともエールビールだから冷やしていないのか、如何ものでしょうか。
A:私も会社の出張兼研修でイギリスのパブに行ったことがあるのですが、行く前にヨーロッパ系のビールは常温で飲むものであって北米由来のビールは冷やして飲むものだと教わりました。しかし、実際にはイギリスのパブで出てきたビールはしっかりと冷えていました。但し、ビールの歴史が古いヨーロッパでは基本的に冷やして飲まない文化があり、アメリカはコーラをはじめ何でも飲み物は冷やして飲むという文化ができたと聞いています。
以上が4月8日(木)に行われた第9回オンライン公開講座「ビールの話」でした。サッポロビールと渋沢栄一、ビヤホールの歴史、ビールの美味しい飲み方、大変楽しく拝聴しました。私もまずはビールグラス専用の食器洗いスポンジを購入することから始め、今は注ぎ方の訓練をしています。ビールが美味しくなるということは飲酒量が増えることに繋がりますよね。困ったことになったかな。
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5月13日(木)に行われた第10回オンライン公開講座「マンションの話題」は『蕨ケーブルビジョン㈱Wink』で放送されます。6月4日(金)~6月10日(木)の間で、ウインクパラダイス10時~、及び20時~、の1日2回です。しかし、残念ながら蕨市内の方しかご覧になれません。市外の方で第11回以降の視聴をご希望の方は是非オンライン公開講座にご参加ください。Zoomの参加ID番号は 817 2214 7316 です。
また、第11回オンライン公開講座は6月10日(木)20時より、蕨市在住の歴史研究家/蕨市の歴史ガイド有資格者で当笑楽日塾塾生が「蕨城主 渋川氏の話」と題して「日本の中世後期に蕨を支配した渋川氏の来歴からその後の動静まで」について解説してくださいます。
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≪ 重 要 ≫
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