笑楽日塾では2021年5月13日(木)に第10回オンライン公開講座「マンションの話題」を開催し、多くの方にご参加していただきました。
今回のお話は一級建築士でマンション管理士の資格をお持ちの塾生が「マンションが抱える二つの老いるショック」というテーマで、ハード面とソフト面から「二つの老いる」を熱く解説してくださいました。タイトルは大変ショッキングなフレーズですが、マンションにお住まいの方にとっては大変に有意義なお話をお聞きいただけたことと思います。
今回も4回に分けて水曜日と土曜日にご紹介します。
≪荒井貞夫塾長挨拶≫
新型コロナウイルスが北から南までますます広がっています。来月は良くなるだろう、来週は良くなるだろう、明日は良くなるだろうと期待を持っていましたが、全部外れてしまいました。
国会の予算委員会で菅総理が相当困っていましたが、野党を含めて誰も解決策を持ち合わせておらず積極的な良い提案は出てきません。そんな中オリンピックの期日はどんどん迫っており『延期しよう』あるいは『1年延ばそう』とも言い出せない。大変苦しい状況になりストレスがどんどん高まっています。
そんな中ですが、今夜はオンライン公開講座第10回の開催にこぎつけることができました。一級建築士とマンション管理士の資格をお持ちの塾生がマンション管理のお話をしてくださいます。
今、日本全国で1,500万人程がマンション暮らしをしていますが、2つの大きな問題を抱えているそうでございます。1つはハード面で建物が老いている。2つ目はソフト面で、そこに住んでいる人たちも老いてきた。こんな中にあってどうしたら一番良いかということを詳しく解説してくださいますのでご期待ください。
≪マンションが抱える二つの老いるショックその1≫
本日は「マンションが抱える二つの老いるショック」という命題で講座を進めていきたいと思います。なるべく専門的な言葉は省いて分かりやすいお話に心掛けますので暫くお付き合いください。
老いるショックその1ハード面(建物):適切な維持保全(長期修繕計画と大規模修繕工事)
老いるショックその2ソフト面(居住者):世代交代へ引継ぎ計画(終の棲家となるべき終末計画に繋ぐ)
マンションが抱える二つのオイルショックというのは何かというと、一番目が建物のハード面の問題で、コンクリートやタイル・鉄部に経年劣化はないか。二番目がソフト面で、理事会役員の世代交代が引き継げるか否かという問題です。その二つの老いに付ける特効薬はあるのかということですが、残念ながら管理組合の皆様や専門家と言われているアドバイザーやコンサルタントにとっても有効な決め手はありません。そのように難しい問題ではありますが、本日の講座がマンションに関わる皆様にとって少しでも解決策のお手伝いになれば幸いと思います。
埼玉県の全マンションストック比率と蕨市と近郊マンションの状態です。埼玉県全体のマンション化率は14.15%で蕨市は21.87%。お隣の戸田市26.72%、川口市21.83%、さいたま市18.88%。このように埼玉県南部のマンション化率はかなり高いものになっています。
マンション化率の高い蕨市のマンションに関する諸々の問題は、近隣の市や県全体の問題にも通じるものがありますので、お隣同士が協力して対応する必要があります。居住者が安全・安心に暮らすため、非常時の避難経路の確保、建物の耐火性、二次災害の抑制等、建物の老いによる弊害があれば改善しなければなりません。
まずはマンション建設の歴史と法的な要因を少しご説明します。
左の図は国土交通省が令和元年度に公表した分譲マンションストック戸数とその推移です。令和元年度の末にはマンションの戸数が665万戸になり、これに平成27年の国勢調査による1世帯当たり平均人員2.33をかけると、1,551万人が居住している推計されます。これは国民の約1割がマンションに住んでいることになります。
マンションの歴史は図に示されるように、建築基準法の改正時に幾つかのターニングポイントがありました。左側から①の矢印は法改正された昭和46年を示しています。これ以前のマンションは旧旧耐震基準建物と言われる時期に建てられたもので、構造的に耐震性があまりないといわれています。
②の矢印は昭和56年6月1日の法改正で、ここから新耐震基準の建物が建ち始まりました。従いまして①と②の間が旧耐震基準の建物で、②以降は新耐震基準で建てられた建物になります。
③の矢印は平成7年12月22日に建築物の耐震改修の促進に関する法律が施工された時を示しています。この法律施行により『旧耐震基準等で建てられた建物については耐震性を確認しましょう』という流れがおこり、これをきっかけに様々な耐震補強の工事が行われるようになりました。
次回はマンションが抱える二つの老いるショックの一つ目「ハード面」のお話をします。
第1回目の今回はマンション建設戸数の推移や耐震基準の法律作成・改正など埼玉県南部の状況を教えていただきました。次回はハード面のお話で、こちらも楽しみにしています。
現在笑楽日塾では皆様がご自宅から参加できるオンライン公開講座(無料)『あなたの知らなかった世界への扉を開いてみませんか』を開催しています。今までとは違った世界へ興味をお持ちの方は是非ご参加ください。
5月13日(木)に行われた第10回オンライン公開講座「マンションの話題」は『蕨ケーブルビジョン㈱Wink』で放送中です。明日6月10日(木)まで、ウインクパラダイス10時~、及び20時~、の1日2回です。しかし、残念ながら蕨市内の方しかご覧になれません。市外の方で第11回以降の視聴をご希望の方は是非オンライン公開講座にご参加ください。Zoomの参加ID番号は 817 2214 7316 です。
また、第11回オンライン公開講座は6月10日(木)20時より、蕨市在住の歴史研究家/蕨市の歴史ガイド有資格者で当笑楽日塾塾生が「蕨城主 渋川氏の話」と題して「日本の中世後期に蕨を支配した渋川氏の来歴からその後の動静まで」について解説してくださいます。
なお、オンライン公開講座のご案内は下記『笑楽日塾』のホームページに記載されていますのでご一読ください。
≪ 重 要 ≫
本ブログの内容は、著者の個人的見解も多く含まれており、著者の所属する笑楽日塾の意見、方針を100%示すものではありません。