マンションの話題も3回目になり、前回のハード面から今回はソフト面の解説になります。分譲マンションに住む場合の義務と責任は何か。人は高齢化しても居住者に課せられた責任からは逃れられません。
≪マンションが抱える二つの老いるショックその3:ソフト面≫
≪管理不全マンションへの余震を防ぐ~諸課題≫
下記の8項目の中で1つでも該当する項目があると不適切管理組合予備軍になります。3つ以上になりますと不適切管理組合の仲間入りです。5つ以上該当しますと早急に人的な対策が必要になりますのでご注意ください。
- 理事のなり手がいないマンション
- 居住者の高齢化や賃貸化などの理由で理事のなり手がみつからない
- 役員のなり手が固定化されてしているマンション
- 理事のなり手不足が原因で、役員が固定化されており一部の方に負担がかかっている
- 無関心化がすすむマンション⇒輪番制の弊害
- 理事のなり手がいないだけではなく、理事会や総会を開催しても出席者(会場への)がほとんどいない。
- 管理不全が深刻なマンション
- 築年数が経過して修繕や資金計画等の問題が顕在化したが改善が困難となっている⇒資金不足
≪第三者管理方式≫
今までのマンション管理は区分所有者による理事会が中心となっておこなわれてきました。しかし昨今では居住者の高齢化や無関心層の増加、住戸の投資用賃貸化、面倒なことはやりたくないという本音により理事会運営自体が困難となるケースもでてきました。そこで管理組合の運営を組合員以外の第三者に任せる第三者方式が考えられました。
≪第三者管理方式の3つのパターン≫
パターン1:「理事・監事外部専門家型、または理事長外部専門家型」
理事長、副理事長、理事または監事等に外部専門家が就任する方法。専門家は理事会のメンバーとなり、区分所有者である他の役員と共に管理組合の運営を行う。
パターン2:「外部管理者理事会監督型」
専門家が管理者となり、理事会は監事的立場とする方法。監視する立場の理事会の役員に、さらに別の外部専門家を選任することも考えられる。
パターン3:「外部管理者総会監督型」
理事会を廃止して、専門家が管理者として就任する方法。区分所有者からは監事を選任して監視、もしくは監査法人等に外部監査を義務づける。パターン3の「外部管理者総会監督型」では、理事会そのものがなくなりますので区分所有者が理事となる必要はなくなります。
第三者管理方式の最大のメリットは、理事の負担が減る、もしくはまったく理事になる必要がなくなるなど、区分所有者の管理組合運営にかかる負担が減ることです。なお、マンションの修繕工事の立案といった諸問題は第三者管理者の意思決定を中心におこなわれますが、高額な修繕工事などは総会の決議を経ることに変わりはありません。
最大のデメリットは、第三者管理者となる専門家への報酬による費用負担が追加されることです。また、就任した第三者管理者が自分の利益を考え、組合員が望まないような管理組合運営をおこなったり、そもそも自分たちの住まいの管理を第三者に委ねることについて区分所有者全員の合意を得るのが難しいといったデメリットがあります。
また、マンション管理会社やマンション管理士・マンション管理に精通している方などを管理者とする「第三者管理方式」を採用しても、最終的な決定は管理組合の区分所有者の責任だということに変わりはありません。
≪マンションの管理の適正化の推進≫
マンション管理適正化法の改正により、老朽化を抑制して周辺への危害等を防止するための維持管理が適正に行われているマンションを認定し、資産価値の向上や保険料率の見直しなどのインセンティブを受けることができるよう検討されています。
・マンションの管理の適正化の推進のため、国による基本方針の策定、地方公共団体による計画の策定、指導・助言等の制度等を策定。
・計画を定めた地方公共団体は、一定の基準を満たすマンションの管理計画を認定することができる。
・評価点数が可視化されているため、適正に管理されたマンションであることが市場において評価される。区分所有者全体の管理への意識が高く保たれ、管理水準を維持向上して居住する区分所有者にとってもメリットが期待できる(きちんと管理されたマンションは資産価値の高評価が期待できる)。
認定基準(素案)(主なもの)としては「修繕その他管理の方法」「修繕その他の管理に係る資金計画」「管理組合の運営状況」「管理適正化指針・市区独自の管理適正化指針に照らして適切なものであること」
次回は聴講者様とのQ&Aです。
皆様がお住いのマンションは管理組合がしっかりと機能していますでしょうか。面倒なことはやりたくないから理事になりたくない。お気持ちは分かりますがマンションに住む以上管理規約を守らなくてはいけません。解説の中でメリットとデメリットを細かくご紹介していただきましたので、それらを理解したうえでの決断になりますね。
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