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就労からリタイアした、又はリタイア間近な男性に読んでいただき、リタイア後も家にこもりきりにならないで社会と繋がりを持つための参考にしていただけたら嬉しく思います。

第10回オンライン公開講座「マンションの話題」2/4

前回はマンション建設戸数の推移や法律作成・改正などを教えていただきましたが、ここからは「二つの老いる」の1つ目「ハード面の老いる」についての解説になります。

 ≪マンションが抱える二つの老いるショックその2:ハード面≫

マンションが抱える二つの老いるショックの1つ、ハード面の問題は建物の高経年劣化により更に2つ劣化に大別されます。

・顕在化劣化:コンクリートのクラック(ひび割れ)・塗装剥離・タイル剥離・etc.〔劣化速度は建物の立地条件によって違う〕

・潜在化劣化:設備管(漏水事故)・電気通信設備(断線事故)・etc.〔目に触れない設備・機器類は静かに潜航して突然顕在化する〕

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耐震性と被害の関係をグラフ化したものがあります(新旧耐震基準建物の被害の差)。新耐震基準の昭和56年以降は補修が可能である。旧耐震基準の昭和56年以前は復旧が可能。旧旧耐震基準の昭和46年以前は倒壊する確率が高いという数字が出ています

日本の建築基準法は世界に名だたる法律で、多くの国の指標にもなっています。ただし、安全性の指標といってもこれは万全でも万能でもありません。熊本の地震では揺れ疲れという現象で新耐震基準の建物でも倒壊の恐れがありました(図の右上の写真がそうです)。

新耐震基準の建物でも揺れ疲れで金属疲労による破断と同じような現象が起きて倒壊する恐れがあります。ということはお住まいになられているマンションの耐震性を知ることと、安心で安全な避難を常日頃から考えておく必要があることになります。

建物の耐震性や安全な避難方法は誰が考えるのか。震災の時に管理会社の担当者は来られません。連絡も取れません。エレベーターのメンテナンス会社も担当者が何時来られるか分かりません。ライフラインの普及も何時になるか分かりません。

建物の耐震性や災害時の避難方法を考えるのは居住者の皆さまです。居住者の結束に係ってきます。そして何よりも常日頃から建物のハード面を見守ることが大事です。

管理が行き届き、耐震性・耐火性が高いマンションが仮の一時避難場所として、有意義に地域に活用されることが防災面で安心・安全都市の一脈になると考えています。

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劣化の状況を知る体験をしてみましょう。つまり「マンション探検隊を組織しましょう」ということです。皆さんは管理費と修繕積立金を支払っているから義務を果たしたと考え、他力本願的なところがありませんか。マンションのことを一番知っているのはマンション居住者の皆さまなのです。マンション管理会社やマンション管理士など専門家といわれる人に委ねるのではなく、居住者の皆さんがマンションの状況を調べて専門家をうまく使いこなすことが大事です。

建物も人間と同じで新築の建物はまだ赤ん坊です。子供は小学生、中学生、高校生、大学生、そして成人していきます。私たちは子供たちに愛情を持って大事に育てます。それでは、自分が住んでいる建物が泣いている声や悲鳴を聴いていますでしょうか。無視していませんか。

施行者の責任よりも建物の悲鳴を聞いていない(聞こえないふりをしている)居住者(区分所有者)の責任が大きいのです。自分たちの体の健康診断と同じように年に一回は建物の健康診断を行ってほしいと思います。建設設備定期検査報告書の記載内容の説明は必ずお聞きして理解することが大事です。

≪災害危険度壁面という言葉があります≫

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マンションの外壁タイルは吹き付け塗装よりも高級感や重厚感があり、また耐久性や耐火性、耐水性にも優れているため今や主流となっています。

マンション外壁の化粧タイルは施工不良や経年劣化により剥離して落下する場合があります。壁面の高さの1/2を地面に水平にして測った範囲をタイル等の剥落による事故の危険性のある範囲と位置付けています。

剥落した外壁タイルはかなり広範囲に散乱しますので、下にいる人は非常に危険です。常にタイルのひび割れや浮きを調べて早めの補修が大事になります。調査方法は目視調査や打音調査のほか、赤外線サーモグラフィを使った赤外線画像診断などがあります。

 劇場や病院、共同住宅、ホテル、学校、マーケットといった不特定多数の人々が利用する建築物を特殊建築物といいます。マンションは「共同住宅」に該当し、建築基準法特殊建築物になり維持・管理が不十分な状態でひとたび火災や地震などが発生すれば、大きな事故や災害を招く恐れがあります。こうした事態を避けるため建築基準法特殊建築物定期調査が定められています。

マンション管理組合の取り組み~マンションの心臓部を点検する≫

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マンションの設備機器はマンションの心臓部です。日常生活上欠かすことができない水や電気を供給する機器や配管がこの設備機器で、人間の身体でいう心臓と血管に当たるものです。

設備機器の点検管理は有資格者でなければ出来ない場合が多くありますが、すべてを委ねてはいませんか?任せっぱなしにしないで自分たちでも内容の確認や精査・検証を行ってください。

  • 点検内容を確認していますか?
  • 何故?不具合・故障の原因を確認していますか?
  • 点検票等の説明を聞き、精査していますか?
  • 維持保全の費用(メンテナンス費用)の検証をしていますか?

 マンションに住んでいると、10数年ごとに「大規模修繕」のタイミングがやって来ます。これはマンションの経年劣化を修復し資産価値を守るために必要な工事になります。

マンションの大規模修繕の項目とその周期(一般的な例)

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  • 外壁(モルタル塗りの補修・塗装:9年~15年)(タイル張りの補修:9年~15年)
  • 屋根(露出アスファルト防水の修繕または塗装:10年~14年)
  • 給水施設(給水ポンプの取替:12年~17年)(給水管の取替:12年~20年)(コンクリート水槽の塗装:9年~11年)
  • 鉄部(外部金物の塗装:3年~6年)
  • エレベーター(取替:30年)

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  • ガス設備(屋内ガス管の取替:30年)(屋外ガス管の取替:19~21年)
  • 電気設備(共同分電盤の補修:16~20年)(照明器具の取替:10~18年)

この周期は、工事の保証期間と劣化度合いなども関係します。国土交通省の監修による「長期修繕計画作成ガイドライン」では、30年計画で、その周期内にて2回の大規模修繕工事を計画して、5年から7年毎に長期修繕計画見直しを図るべきと推奨しています。

次回はマンションが抱える二つの老いるショックの2つ目「ソフト面」のお話をします。

 『建物が泣いている、悲鳴を上げている、居住者は知らんふり。』耳が痛いですね。全ての居住者によるマンション管理が絶対に必要で、無関心が一番いけないと思い知らされました。外壁はモルタルでもタイルでも剥落すると大変危険ですので常日頃の見守りが大事ですね。

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 現在笑楽日塾では皆様がご自宅から参加できるオンライン公開講座(無料)『あなたの知らなかった世界への扉を開いてみませんか』を開催しています。今までとは違った世界へ興味をお持ちの方は是非ご参加ください。

6月10日(木)に行われた第11回オンライン公開講座「蕨城主 渋川氏の話」は『蕨ケーブルビジョン㈱Wink』で放送されます。7月2日(金)~7月8日(木)の間で、ウインクパラダイス10時~、及び20時~、の1日2回です。しかし、残念ながら蕨市内の方しかご覧になれません。市外の方で第12回以降の視聴をご希望の方は是非オンライン公開講座にご参加ください。Zoomの参加ID番号は 817 2214 7316 です。

また、第12回オンライン公開講座は7月8日(木)20時より、先日叙勲され、【瑞宝小綬章】を受賞されました栗原秀人様が「水道の深~い話」と題して、多くの施設が地下にあるため意識されることの少ない下水道の、疫病対策や市内の浸水対策についてお話しくださいます。

なお、オンライン公開講座のご案内は下記『笑楽日塾』のホームページに記載されていますのでご一読ください。

本ブログの内容は、著者の個人的見解も多く含まれており、著者の所属する笑楽日塾の意見、方針を100%示すものではありません。

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