笑楽日塾の事件簿blog

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就労からリタイアした、又はリタイア間近な男性に読んでいただき、リタイア後も家にこもりきりにならないで社会と繋がりを持つための参考にしていただけたら嬉しく思います。

第6回オンライン公開講座「電動機と製鉄」(後編)

昨日に続き「電動機と製鉄」の後編で「鉄が出来るまで」と「厚板圧延機の駆動電動機」の質問部分をご紹介します。

前半は製鉄に関する質問で後半は電動機に関する質問ですが、今回の講座は「世界一の製鉄所で活躍する世界最高性能の日本の電動機」についてお話していただきましたので、回転子の直径が約3mで固定子は約5mという大変大きなモーターを念頭に置いた質問になります。

 ≪ 質 問 ≫

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Q:高炉で出来た銑鉄を受け取るトーピードカーの容量は250㌧とお聞きしましたが、5000㎥の高炉に原料を層状に入れた場合250㌧の銑鉄が出来るということでしょうか。

A:一気に全ての銑鉄を出すのではなく、数回に分けてトーピードカーの中に出します。

Q:鋼の品質は転炉内の状態で決まりですか。

A:ミルシート(鋼材の材質を証明する添付書類)を決める基本成分は転炉でほぼ決まります。

Q:鉄を薄く伸ばす圧延機のバックアップロール(支持ロール)やワークロール(作業ロール)は消耗品だと思うのですが、どれくらいの周期で交換されますか。

A:各社のノウハウで良くは知りません。しかしある製鉄所では2,500㌧圧延した時にロールを交換しており、1時間当たり200㌧位の圧延量ですから12時間くらいで交換していました。なお、1980年代頃から圧延しながらロールを磨く機能が付加され、ロールの交換は10,000㌧近くまで伸びたと聞いています。

Q:作業中機械にトラブルが発生し、作業がストップした場合の鉄は再利用できますか。

A:作業中のトラブルに関しては、材料を犠牲にして機械を保護しますのでその時の鉄は再利用出来ません。

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Q:製鉄用150トンの交流モーターがあることを初めて知りました。このモーターの設計・製造・輸送・据え付け・コミッショニングなど、受注から納入・試運転までの期間はどれくらいかかりますか。

A:ざっくり言って20ヶ月~24ヶ月です。モーターの制作期間は12ヶ月位ですが、海上輸送するための梱包・輸送・開梱等で約4週間かかります。据え付けと据え付け調整で約2ヶ月です。

Q:受注するのは入札でしょうか、それともネゴシエーションでしょうか。

A:競合入札です。引合いに出された時に各社がそれに見合った基本設計のうえ応札します。引き合いから受注までは約6ヶ月になります。

Q:一つの圧延設備プロジェクトの中で、電動機部分の受注総額はいくらぐらいのものでしょうか。

A:そうですね、ミルモーター2台で10億まではしないと思います。

Q:ご説明の中で電動機の重さは150㌧とお話しされていましたが、回転子の直径はどれくらいでしょうか。

A:回転子の径が3.12mで約100㌧、固定子の径は4.5mで約50㌧になります。

Q:電動機の定期修繕(Overhaul)はどれくらいの期間(Span)で行われますでしょうか。その間に圧延機はどれくらい(何日位)止まりますでしょうか。

A:分解して点検するのは5年に1回位です。普段はカバーを外してファイバースコープ等を使い目視点検を行います。また、モーターをバラバラに分解して点検し、組み立て直すと最低10日はかかると思います。

Q:今日お話しいただいたような超大型の電動機を作れる電機メーカーは国内と海外にどれくらいありますか。

A:メーカーは国内には3社と国外に3社あります。

 以上が笑楽日塾塾生による「鉄が出来るまで」と「厚板圧延機の駆動電動機」の講座で、昨日と今日の2回に分けてご紹介しました。人類は地中から鉄を取り出して利用することにより大きく発展し、鉄から作り出す製品は日本の経済成長の源泉ともなりました。普段は全く気にすることはありませんが、鉄がいまの暮らしや産業を支えており、現代社会において鉄の無い生活は考えられません。

また、鉄は100%何にでも何度でもリサイクルされて新しい鉄鋼製品に生まれ変わることができる「リサイクルのチャンピオン」でもあります。捨てればゴミですが再利用すれば資源になります。家庭でもごみ出しには分別を徹底し、資源を無駄に消費しないようリサイクルに協力しましょう。

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 現在笑楽日塾では皆様がご自宅から参加できるオンライン公開講座(無料)『あなたの知らなかった世界への扉を開いてみませんか』を開催しています。今までとは違った世界へ興味をお持ちの方は是非ご参加ください。

1月14日(木)に行われた第6回オンライン公開講座「電動機と製鉄」は『蕨ケーブルビジョン㈱Wink』で、本日2月11日(木)までウインクパラダイス10時~、及び20時~、の1日2回放送しています。しかし、残念ながら蕨市内の方しかご覧になれません。市外の方で第7回以降の視聴をご希望の方は是非オンライン公開講座にご参加ください。

また、第7回オンライン公開講座は本日2月11日(木)20時より当笑楽日塾塾生が「蕨の土地」と題して、蕨の土地の成り立ち、県南の地下水汲み上げによる地盤沈下、最近頻発する地震、水害との関連を分かりやすく解説してくださいます。

なお、オンライン公開講座のご案内は下記『笑楽日塾』のホームページに記載されていますのでご一読ください。

 

本ブログの内容は、著者の個人的見解も多く含まれており、著者の所属する笑楽日塾の意見、方針を100%示すものではありません。

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