2021年1月14日開催の講座は「電動機と製鉄」と題して、製鉄所で鉄鉱石から鉄が出来る工程と、世界一の製鉄所で活躍する世界最高性能の超大型電動機について解説していただきました。
なお、鉄に関する固いお話で専門用語も多く、内容はかなり高度なものでしたが、製鉄や電動機には素人の受講者に向けて分かりやすく、優しく、丁寧にお話しくださいました。
次の図は製鉄所で鉄が出来るまでの工程を示したものです。原料の入荷から製品の出荷までが順番に書かれていますので、これからのお話しと照らし合わせてご覧ください。
①.まず、製鉄所を作る場所ですが、日本は原料の鉄鉱石や石炭のすべてを輸入に頼っていますので船の着岸が出来る海岸に作り、1901年に初のコークス炉「八幡製鉄所」が作られたのも海岸の海の深さが深かったためと言われています。なお海外では鉄鉱石の採掘現場がある山の中に作られているとのこと。
②.船から陸上げされた鉄鉱石と石炭は原料ヤードに山積されます。
③.原料の鉄鉱石は焼結鉱(粉状の鉄鉱石と石灰石を混ぜて一定の大きさに焼き固めたもの)に、石炭はコークス(石炭を蒸し焼きにしたもの)に加工します。
④.高炉も大きなものになると内容積が7,000㎥を超える巨大なものもあります。高炉内には焼結鉱とコークスが交互(ミルフィーユ状態)に積まれ、下部から熱風を吹き込むことによりコークスが燃え、焼結鉱は飴のように溶けた鉄の雫として下に落ちます。ちなみに鉄を10㌧作るのにおおよそ焼結鉱を15㌧、コークスを5㌧使います。
⑤.飴のように溶けた鉄はトーピードカーに注ぎ込み、製鋼工場では行い難い硫黄分の除去をして転炉に運びます。
⑥.高炉で出来た銑鉄は硬くて脆いため転炉の中に入れ、高圧の酸素を吹き込むことで含まれている不要な炭素を燃やして鋼にします。
⑧.溶けた状態の鋼は連続鋳造設備で固められて圧延の素材となります。
⑪.鋼材を圧延設備で薄く伸ばします。圧延機には2つのワークロールがあり、このロールでスラブを挟み、往復させて薄く伸ばします。圧延時にはワークロールがしなってしまいますので、背中側に直径が2倍のバックアップロールを配置し、見かけの剛性を高めてしなりを解消します。
なお、電動機はワークロール1本に1台ずつ取り付けられており、スピンドル(回転軸)経由で動力をワークロールに伝えます。
⑮.線材、厚板、薄板などに加工します。
⑯.製品として出荷します。
以上、鉄が出来るまでの流れをお話しいただきましたが、これらの機械を動かしているのが全て電動機です。
ここからは⑪の厚板圧延機を動かす電動機(厚板ミルモーター)のお話しになりますが、かなり専門的なものでしたので分かりやすくご覧いただけるよう質問形式にしたものを明日投稿します。受講者の中には興味を持たれた方が多くおられ、質問が沢山ありましたのでご期待ください。
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1月14日(木)に行われた第6回オンライン公開講座「電動機と製鉄」は『蕨ケーブルビジョン㈱Wink』で放送中です。2月5日(金)~明日2月11日(木)の間で、ウインクパラダイス10時~、及び20時~、の1日2回です。しかし、残念ながら蕨市内の方しかご覧になれません。市外の方で第7回以降の視聴をご希望の方は是非オンライン公開講座にご参加ください。
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