5回に渡り手漉き和紙に関する様々な角度からの解説をしていただきました。古くは中国から渡ってきた歴史や日本人の知恵で改良してできた良質な和紙。日本全国に広がった和紙の里。今回は皆さんからの質問にお答えしていただきました。
≪Q&A≫
Q1:貴重なお話をありがとうございました。大変勉強になりました。トロロアオイとかノリウツギとか のあまり聞き慣れない材料が出てきました。私が子供の頃には紙を使ったいろいろな製品が生活の中に沢山あって、和傘を差して学校に通ったものです。お聞きしたいことは、町会のお祭りなどに使う提灯に貼る紙もやはり和紙なのでしょうか。
A1:全部和紙です。和紙に油を染み込ませたものです。
Q2:川口・戸田・蕨でも紙を漉いていたとお聞きしました。横曽根和紙という名前は初めて知りましたが、なぜ有名にならなかったのでしょうか。
A2:お答えします。落し紙を漉いていたのであまり格好の良いものとは思わなかったのでしょう。
Q3:でも生活必需品ですので残念ですね。
A3:昔この辺りも綺麗な水が流れる毛長川があって、良い紙が漉けたのですが残念です。
Q4:手漉き和紙には「溜め漉き」と「流し漉き」というものがあるとお聞きしました。お話の中で「溜め漉きから流し漉きに改良された」とありましたが、今はもう溜め漉きは行っていないんでしょうか。あるいは紙の大きさによって使い分けているのでしょうか。
A4:私が277ヶ所回った和紙の里は全部流し漉きでした。紙漉きが中国から渡ってきた時には溜め漉きでしたが、これでは駄目だということで流し漉きにして中国に逆輸出しました。
Q5:それは紙の質というよりも量産が出来たということでしょうか。
A5:その逆で紙質の問題でした。流し漉きの方が良質な紙が漉けます。
Q6:紙幣も和紙を使っているとお聞きしましたが、今でも材料に楮や三椏を使っているのでしょうか。
A6:楮は使っていませんが、三椏はずーっと継続して使っています。大蔵省も三椏を栽培して使っていましたが、今では生産量が減ったため輸入にも頼っています。
Q7:強度があってお札には非常にいい材料といえるんですね。
A7:強度の他にも、ねりにトロロアオイとかノリウツギを使っているため、虫に食われ難いということがあります。ねりに蒟蒻のりを使ったらすぐに虫食いだらけになって、お札がボロボロになってしまいます。
Q8:先ほど凧の博物館を紹介していただきました。私も凧を時々作りますが、雁皮紙がミニ凧に丁度良い感じでした。雁皮紙の用途は他にどんなものがあるのか教えてください。
A8:雁皮紙はのりを虫に食われにくいものにして、公式文書などに使われていました。例えば昔の幕府や朝廷などが命令をする時の文書に使っていました。三椏ではもったいないからで、三椏は専らお札用でした。
「手漉き和紙の里探訪記」6回シリーズも今回で終了しました。自然が豊かで綺麗な水が豊富に流れる日本の原風景「手漉き和紙の里」これからも子孫のために末永く残したいものです。
2019年6月9日の朝日新聞デジタルに『伝統的な手すき和紙づくりの存続が危機を迎えている。生産に不可欠なトロロアオイを栽培する茨城県小美玉市の農家5戸が、来年で作付けをやめる方針を決めたからだ。この5戸で全国生産の7、8割を占めており、和紙生産者には大打撃になりかねない。』とのこと。生産者の高齢化と収入面で割に合わないのが問題のようです。
また活版印刷研究所のWEB MAGAZINE京都大学図書館保存のブログには『トロロアオイ日本一の栽培地が茨城県小美玉市で収穫量全体の5割ほど、残り3割が埼玉県小川町、2割が長野県で、一大栽培地が生産をやめるとなると、これは一大事。』とも。
オンライン公開講座Part-Ⅱの第8回は3月10日(木)に、「頼朝と義経(栄光と確執)」と題し、笑楽日塾塾生が解説してくださいました。笑楽日塾のオンライン公開講座は今回で全て終了しましたが、最終回の模様は蕨ケーブルビジョン㈱のウインクパラダイスで4月8日~4月14日まで1日2回(10時~、及び20時~)放送されます。しかし、残念ながら蕨市内の方しかご覧になれませんのでご承知おきください。
なお、笑楽日塾の活動は下記ホームページに記載されていますのでご参照ください。(リンクを貼る)
≪ 重 要 ≫
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