笑楽日塾の事件簿blog

笑楽日塾の事件簿

就労からリタイアした、又はリタイア間近な男性に読んでいただき、リタイア後も家にこもりきりにならないで社会と繋がりを持つための参考にしていただけたら嬉しく思います。

オンライン公開講座PartⅡ第3回「海外コンサルタント生活 タイ、カンボジア編2/4」

前回は「日本の国際協力ODAとJICA」についてでしたが、今回はタイ バンコク高速道路改修工事についてお話しくださいます。バンコクの大半は海抜ゼロメートル地帯だそうですので心配は尽きませんが、最近は日本でもゲリラ豪雨による洪水が頻発しており、バンコクのことを他人ごとと言ってはいられません。バンコクでは洪水が起きた場合を想定し、どのような対策を取ったのでしょうか。また、後半はバンコクでの生活やタイの観光地を紹介してくださいます。

≪2.タイ バンコク高速道路改修工事≫

・案件の概要です

f:id:jiajiawarabi:20211114184443j:plain

タイ王国では2011年7月から断続的に降り続いた80年に一度と言われる記録的な大雨により、10月以降は首都バンコクをはじめ、多くの工業団地が集積するアユタヤ県及びその周辺など多くの地域が洪水による被害を受けました。

同年10月に日本政府は洪水収束後の支援について調査団を派遣し、首都バンコク東部の自動車専用道路(国道9号線、全長約63km)のうち、冠水した30kmを対象に改修することとしました。

設計方針は、2011年の洪水と同規模の洪水に対しても、北行き4車線を中央で分けて南北2車線ずつの交通が共用できるようにする。ということで北行き4車線の路面の高さをかさ上げすることとしました。

2011年は日本でも大きな震災で壊滅的な被害を受けた年ですが、バンコクは大変な洪水に見舞われました。バンコクの北にあるアユタヤ県や東南に位置するチョンブリー県は、日本の自動車産業を始め精密機械工業が多く進出しているため、洪水により大変な被害を受けています。また、この辺りには高台がありませんので写真でもお分かりのように、沢山の車が人工的に作られたインターチェンジ等に避難していることが分かります。

f:id:jiajiawarabi:20211114184535j:plain

次は工事の位置図ですが、バンコクの拡大図をご覧ください。バンコクの周りには環状道路が走っています。バンコクの北にあるアユタヤ県には多くの工業団地があります。この工業団地で使われる材料等の入荷や完成品の出荷は、高速道路9号線を南に下ったレムチャバン(地図の右下)という港を経由して輸出入することになります。

・工事の概要です

f:id:jiajiawarabi:20211114184626j:plain

この写真左はプロジェクト契約時の様子で、タイ国のダイレクターでサイナーと右側は請負業者の代表者です。セレモニーがタイのバンコクで行われました。

次の図は晴天時と洪水時の高速道路の様子を描いたもので、北から南を見たものです。片側の4車線だけを砂利やアスファルト等でかさ上げし、平均45cm高くしようということです(図では右側車線の北行きをかさ上げしています)。

f:id:jiajiawarabi:20211114184704j:plain

f:id:jiajiawarabi:20211114184729j:plain

2011年の洪水は80年に一度の大雨のため起こった大洪水でしたが、かさ上げしてこの時と同程度の雨が降った場合でも北行き4車線は路肩程度で水位が止まるようにしました。水没を免れた北行き4車線の中央に分離帯を置き、南行き2車線と北行き2車線に分けて通行しようというのが今回のプロジェクトの設計思想になります。

f:id:jiajiawarabi:20211114184808j:plain

この図のように既存の舗装構成を新設舗装構造のようにかさ上げを行います。既存舗装構成は下から順に下層路盤という20cmの砂利の層があります。25cmの上層路盤という砂利の層があります。さらに10cmの下層アスファルト、5cmの基層アスファルト、5cmの表層アスファルトがあります。

f:id:jiajiawarabi:20211114184914j:plain

新設舗装工事を行うために既存のアスファルト部分の3層をめくって壊し、20cmのサブベースという砂利の層、25cmのベースコースという砂利層を設け、その上には既存舗装構成と同じように10cmの下層アスファルト、5cmの基層アスファルト、5cmの表層アスファルトで45cmのかさ上げを行います。最後にアスファルトフィニッシャという機械でアスファルトを舗設し、転圧機で固めて完成です。

f:id:jiajiawarabi:20211114184947j:plain

改修工事完了の写真を見ていただくと左側車4線がかさ上げされて高くなっているのがお分かりいただけることと思います。

私が関わっていたのは2013年から2015年まででしたが、2014年5月20日にタイでは軍事クーデターが起こりました。我々が仕事をしていた事務所は、工事をしている道路のインターチェンジの中央にありました。

f:id:jiajiawarabi:20211114185126j:plain

f:id:jiajiawarabi:20211114185202j:plain

そのオフスは軍に占拠されてしまい、軍からは『おまえたちはここにいて仕事をしていてもいいが静かにしていろ』と言われる羽目に。JICAに報告したら『1週間ほど事務所に行くな』と言われ、私たちは暫く仮事務所にいました。軍人は片時も銃を離さないためトイレで一緒に用を足したときは少し不気味でしたが、軍隊も一週間くらいで別なところに移りましたので安堵したという経験もしました。

≪ここからは生活面についてお話しします≫

f:id:jiajiawarabi:20211114190309j:plain

私が住んでいたところは都心から少し北へ行った地下鉄のホイクアンという駅に近い、40階建ての大きなコンドミニアムで50㎡位の部屋でした。

f:id:jiajiawarabi:20211114190414j:plain

f:id:jiajiawarabi:20211114190444j:plain

基本的には自炊ですので毎週日曜日には写真(居住地近くの街並み)の右側に見えますBig Cというスーパーマーケットにリュックをしょって買い物です。特に1階のフードコートなどは人も大勢来ており、かなりの賑わいでした。

ホイクアンは都心からかなり離れているのですが、途中にはこのような大変モダンな歩道橋があります。

象さんはタイの生活にも信仰にも欠かせない存在で、バンコクの町中至る所に写真のような祠がありました。

f:id:jiajiawarabi:20211114190537j:plain

f:id:jiajiawarabi:20211114190605j:plain

また、バンコク市内には85階建てのホテル他高い建物が沢山あり、まさに近代的なアジアン都市です。

私は単身赴任でしたので家族はもちろん、友達も度々遊びに来てくれました。そんなときに案内する旅行先をご紹介します。

f:id:jiajiawarabi:20211114190707j:plain

まずは近い所ではバンコクの北にあるアユタヤですね。ここにはワット・マハタートという木の根っ子に仏像の顔が飲み込まれたような、“奇跡の仏頭”として知られる寺院があります。アユタヤではこういう古い遺跡も沢山見ることが出来ます。

f:id:jiajiawarabi:20211114190736j:plain

アユタヤからは少し南になりますが、数多くの宮殿を見ることが出来るバンパイン宮殿群があり、ゴシック風の宮殿が魅力的です。樹木の葉をうまく使って造形して象さんの形に作ったものもあり、大変見栄えのする憩いのある宮殿です。

f:id:jiajiawarabi:20211114190820j:plain

バンコクからは160km程離れた所にあるパタヤは、車だと2時間ちょっと位です。夜の街は正に華やかでにぎやかな街です。

f:id:jiajiawarabi:20211114190903j:plain

サムイ島というところもあります。バンコクからは少し離れていますのでここには飛行機で行きました。ベトナムカンボジア・タイ・マレーシアに囲まれたタイランド湾はあまりきれいな海ではありませんが、ここはココナッツアイランドといって少しきれいなところがあり、落ち着いた島でした。

f:id:jiajiawarabi:20211114191105j:plain

なお、 水はあんまりきれいではないのですが、有名なのはやはりプーケットですね。ここには大きな五つ星ホテルも沢山あり、欧米からの旅行者も沢山来ておられました。

f:id:jiajiawarabi:20211114190943j:plain

隠れた保養地になりますが、バンコクから200km位の所にホアヒンがあります。ここには王室の別荘や立派なゴルフ場などがあり大変落ち着いたところです。しかし残念なことに私はここのゴルフ場には行っていません。

f:id:jiajiawarabi:20211114191235j:plain

バンコク市内の王宮です。ここには観光客が沢山来られて何時も賑わっています。私が滞在していた頃は国王が体調を崩されていたとのことで、新聞などには『お元気になってください』という文字が並んでいました。

f:id:jiajiawarabi:20211114191314j:plain

少し西になりますがミャンマーとの国境近くに「戦場に架ける橋」で有名なカンチャナブリーがあります。ここにも家族が来た時やお友達が来られた時には必ず案内しました。バスで3時間半ほどかかるため少し遠いのですが、お連れしていました。

f:id:jiajiawarabi:20211114191421j:plain

バンコクでの余暇は専らゴルフを楽しんでいました。施工業者さんもプレーする方が沢山おられましたので。

 

f:id:jiajiawarabi:20211103213715j:plain

バンコクの幹線道路が埋没しないように行った「かさ上げ工事」は素晴らしいですね。また、タイの数々の観光地を紹介していただきました。「カンチャナブリー」ウイリアムホールデンが主演した映画「戦場に架ける橋」は見ていませんが、クワイ川マーチはあちこちで耳にしたと記憶しています。ちなみにウイリアムホールデン丹波哲郎と共演した「第七の暁」が好きです。

次回24日(水)はカンボジア プノンペンの信号機工事のお話です。

f:id:jiajiawarabi:20210619185158j:plain

f:id:jiajiawarabi:20211125134220j:plain

現在笑楽日塾では皆様がご自宅から参加できるオンライン公開講座(無料)『あなたの知らなかった世界への扉を開いてみませんか』を開催しています。今までとは違った世界へ興味をお持ちの方は是非ご参加ください。

f:id:jiajiawarabi:20211007171247j:plainf:id:jiajiawarabi:20211007171307j:plainまた、11月11日(木)に開催されたオンライン公開講座Part-Ⅱの第4回「日本人だから知っておきたい箸のマナー」は『蕨ケーブルビジョン㈱Wink』で放送されます。放送日は12月10日(金)~12月16日(木)までで、ウインクパラダイス10時~、及び20時~、の1日2回です。しかし、残念ながら蕨市内の方しかご覧になれません。市外の方でオンライン公開講座受講をご希望の方は次のID番号でご参加ください。Zoomの参加ID番号は 817 2214 7316 です。

f:id:jiajiawarabi:20211116181804j:plain

オンライン公開講座Part-Ⅱの第5回は12月9日(木)20時より、「新幹線電車発祥地はどこですか」と題し、当笑楽日塾塾長荒井貞夫が「57年前にいきなり時速210kmを実現して世界をアッと言わせた夢の超特急・新幹線電車の発祥の地は何処か、新幹線電車が作られた工場は何処にあったのか、新幹線電車の工場は、何故その場所だったのか。新幹線の開発者・十河信二国鉄総裁と島技師長はなぜ開業式に出席出来なかったのか」など隠れたエピソードをご紹介いたします。

なお、オンライン公開講座のご案内は下記『笑楽日塾』のホームページに記載されていますのでご一読ください。

本ブログの内容は、著者の個人的見解も多く含まれており、著者の所属する笑楽日塾の意見、方針を100%示すものではありません。

span.author.vcard{ display:none; }