笑楽日塾の事件簿blog

笑楽日塾の事件簿

就労からリタイアした、又はリタイア間近な男性に読んでいただき、リタイア後も家にこもりきりにならないで社会と繋がりを持つための参考にしていただけたら嬉しく思います。

第12回オンライン公開講座「下水道の深~い話」

笑楽日塾では2021年7月8日(木)講師に下水道の専門家 栗原秀人様をお迎えし、第12回オンライン公開講座「下水道の深~い話」を開催しました。講演の内容は、第1部「使う水と使った水」、第2部「下水道の深~い話」、第3部「もし下水道が使えなくなったら」の3部構成でした。今回は第1部と第2部の中から一部分の抜粋ではありますが、今世界中を困らせている「ウイルス」に関連したお話をご紹介させていただきます。

≪荒井塾長挨拶≫

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一昨日蕨にオリンピックの聖火がやってきまして、私も聖火リレーを見に行きました。2週間後の23日(金)にいよいよオリンピックが開催されるということでございますが、私たちの身の回りは依然として1年半以上前と全く変わらない不自由な生活が続いている状態でございます。そのような中、今夜はオンライン公開講座にご参加いただきまして誠にありがとうございます。

さて今夜は、下水道の専門家「栗原秀人さん」が下水道の歴史や各地で取り組みが進んでいる「下水の再生と活用」「下水からコロナを検出し流行とその収束を予知する技術」など。私たちの暮らしを支える下水道を分かりやすく解説してくださいます。ご期待ください。

≪栗原秀人様の講演≫

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私は「下水道広報プラットホーム」通称GKPのアドバイザーをしております栗原です。どうぞよろしくお願いします。普段意識することのない下水道、おそらく皆さんそうだと思います。目に付くのは路上に見えるマンホールの蓋だけです。さてその中やその先はどうなっているのか、今日は皆さんと一緒に考えていきたいと思っております。本日の話は、国交省、埼玉県、蕨市などのホームページから資料を頂戴しております。

 ≪第1部「使う水と使った水」の抜粋で、使った水について≫

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下水道には「全ての建物から出る汚水を受け取り、きれいにして川や海に出す」「街に降った雨を集めて川や海へ出す」という2つの役割があります。もう少し詳しく言いますと「下水道には汚水と雨水を集める役割があり様々な汚水を集めてきれいにする」「ハエや蚊の発生・疫病の発生を防ぐ」これは公衆衛生ですね。そしてもう一つは「川や水路をきれいにする水質保全」そして「雨水を排除して街を浸水から防ぐ」。こういった特徴があり、これが下水道の役割ということになります。この目的を達成するために「下水道が出来たら繋ぎなさい」「下水道を使いなさい」。という法律の中でも珍しい「接続強制」という義務を課しています。これは「下水道が出来たら全ての建物から排出する汚水は下水道に流しなさい」「ぼっとんトイレは3年以内に水洗トイレに改造しなさい」というものです。

 ≪本日のメーンテーマ、第2部「下水道の深~い話」の抜粋≫

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このグラフは、金子光美先生の論文からお借りしましたが、開国以来『我が国の水系経口感染症コレラ赤痢・腸チフス・パラチフス等)と上下水道普及の推移』で、明治12年には死者が10万6千人になりました。今は新型コロナウイルス感染で「1年半に1万5千人亡くなった」といって大騒ぎしていますが、明治12年にはその10倍もの人が1年で亡くなったわけです。また、明治19年には10万8千人が亡くなってしまい「水道を整備しなくてはいけない、先ずは上水道の普及だ」と意識が変わってきました。しかし、それでも死者の数が増えたため「やはり下水道も作らなくてはいけない」という流れになりました。グラフを見ると上水道や下水道の普及と共に水系経口感染症が減っていることが良く分かります。

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次のイラストですが、今では『水監視システム』という下水道を使った水監視システムが脚光を浴びています。これは東北大学のある先生が牡蠣に係るノロウイルスを基に研究した(社会実装中)システムです。今までの感染症は、「先生お腹が痛いです」「調べたらノロウイルスです」「保健所にデータが集まります」保健所で調べた結果「ノロウイルスが蔓延しているから気を付けてください」と、警告されたときには既に一次感染から二次感染に移ってしまっているのが実態でした。下水道には当然「病原微生物」が流されますので、マンホールから下水道管の中で検知出来たとしたら「この地域にはノロウイルスが流行っているよ、気をつけなさい、手洗い、うがいをしましょう」と、警告を早めに出して一次感染くらいで食い止められる可能性があります。今までの保健所経由で警報を出すよりも、下水道を使った水監視システムで検知して警報が出せたとしたら、このタイムラグは3週間あったと言われています。そんな効果が実証されていました。その結果、牡蠣養殖の所にまで汚染したウイルスが流れ込まなくて済むようになり、安全な水環境の創成が出来るということです。

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そうした中『コロナウイルス』ですが、地域ごとの予兆・拡大・収束を把握できるシステムが出来上がりました。今回のウイルスは無症状が多いと言われますが、無症状の人はPCR検査に行きません。しかし無症状であっても感染している人から出た汚水にはウイルスが含まれています。下水道に流されてきたウイルスを検知すると、ある地域では「無症状かもしれませんがウイルス患者がいますよ」と、早く皆さんに警告を出すことができます。これが先ほどのノロウイルスの仕組みから当然考えられまして、北大とか東北大・東大・京大など、様々なところが地域の下水道団体と協力して進めてきました。

検出システムで情報をどう集めたらよいのか。検出する方法で一番の問題は「他の汚水や雨水に混じって薄まったウイルスをどう濃縮するか」という技術です。測定するのに邪魔ものがいっぱいあります。大便の他にもいろんなものが混じっていますので、それをどう振るい分けてウイルスを濃縮するか。あるところまで濃縮できればPCR検査とか、今ほかでやられているものと同じ方法で行えばいいということになります。様々なところでこの有効性が実証されていまして、今は『下水疫学』という言葉が世界的に注目され進展しています。

第1部でお話しました接続強制「下水道が出来たら全ての建物の排水管を繋げて、皆さん汚水を流してください」の成果です。皆さんの汚水が集まってきているからこそできる仕組みだと思います。

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 今回は90分間に渡るご講演の第1部と第2部の中から一部分を抜粋したものです。私たちが生きていくためには必ず水のお世話にならなくてはなりません。今日はこの水の大切さを再認識させられました。私たちが使って汚した水も水源をたどれば山に降った雨で、元はきれいな水でした。汚した水はきれいに戻してから川や海に返し、未来を生きる子孫のために迷惑を掛けてはなりません。

今回の講演では、下水道「汚水桝や雨水桝・下水管・マンホール・ポンプ場下水処理場といった下水を排除・処理する施設全て」の重要性と必要性について詳しく教えていただきました。

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 現在笑楽日塾では皆様がご自宅から参加できるオンライン公開講座(無料)『あなたの知らなかった世界への扉を開いてみませんか』を開催しています。今までとは違った世界へ興味をお持ちの方は是非ご参加ください。

7月8日(木)に行われた第12回オンライン公開講座は『蕨ケーブルビジョン㈱Wink』で放送中です。今回の90分間にわたるお話は私たちの生活に密着した大変有意義なもので、「この内容を編集で短くするのはもったいない」「最初から最後まで全てを見ていただきたい」という意見が多数あり、前編と後編に分けて放送することとなりました。

【前編】8月11日 午後8時 /8月12日 午前10時

【後編】8月11日 午前10時 /8月12日 午後8時

例えば、前編を10時に放送する場合、後編はその日の20時の回に放送というパターンとなります。

今回は変則的なスケジュールになりましたが、是非視聴していただきたくご報告します。また、お骨折りいただきました蕨ケーブルビジョン㈱様に感謝申し上げます。

なお、残念ながらTV放送は蕨市内の方しかご覧になれません。市外の方で次回8月以降の視聴をご希望の方は是非オンライン公開講座にご参加ください。Zoomの参加ID番号は 817 2214 7316 です。

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 また、オンライン公開講座Part-2の第1回は明日、8月12日(木)20時より当笑楽日塾塾生が「シニアの地域活動」と題し、リタイア後に地元町会の運営や小学校の放課後こども教室、また土曜塾のリーダーとして活躍されているお話しをしてくださいます。

なお、オンライン公開講座のご案内は下記『笑楽日塾』のホームページに記載されていますのでご一読ください。

 

本ブログの内容は、著者の個人的見解も多く含まれており、著者の所属する笑楽日塾の意見、方針を100%示すものではありません。

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