笑楽日塾の事件簿blog

笑楽日塾の事件簿

就労からリタイアした、又はリタイア間近な男性に読んでいただき、リタイア後も家にこもりきりにならないで社会と繋がりを持つための参考にしていただけたら嬉しく思います。

蕨の庚申塔(2)

前回に引き続き笑楽日塾オンライン塾会のお話から庚申塔の続きです。

庚申講は中国より伝来した庚申信仰に基づくもので、旧暦では60日に1度、庚申(かのえさる)の日が巡ってきて、この夜眠ってしまうと人の体内にすんでいる三尸(さんし)という虫が天に昇り、天帝にその人の日ごろの行いを報告するという道教に由来する教えから出来たものです。報告された罪が重い場合には天帝が判断し、その人の寿命を縮めてしまうことがあると信じられていました。

庚申待ちは庚申講、庚申会、お日待ちなどといい、庚申待ちを3年18回続けた記念に建立される石塔のことを庚申塔といいます。その建立に際して供養を行ったことから庚申供養塔ともいわれています。

なお、神道でも庚申の「申(さる)」にちなんで、猿田彦神を本尊とする庚申祭を行っています。

庚申塔の形≫

庚申塔の形態には、墓石型の角柱(写真左は傘付角柱庚申塔)や駒形(写真中央)、舟形(写真右)などがあります。また、多くの場合は塔の中央部に主尊(しゅそん)である青面金剛(しょうめんこんごう)や地蔵菩薩が彫られ、少数ではありますが像を彫らずに文字だけを彫刻したものもあります。なお、江戸時代初期には主尊に薬師如来阿弥陀如来が彫られた珍しいものが残っています。

庚申塔には病鬼を払い除くといわれる青面金剛像の下に、謹慎の態度を表すという三猿を彫ったものも多くあり、塔の側面や土台には造立者名を刻んだものや、道しるべを刻み標石を兼ねていたものもあります。

≪言葉の意味≫

青面金剛青面金剛庚申塔に彫られた主尊で、一般的には足元に邪鬼を踏みつけ、二臂または四臂・六臂・八臂のものがあります。腕のかずや造立者の思惑によって違いはあるものの、合掌したものや法輪(仏教の教義)・弓・矢・剣・錫杖(しゃくじょう=僧が持って歩くつえ)・ショケラ(上半身裸の女人)等を持ち、忿怒相で描かれることが多い。

頭髪の間で蛇がとぐろを巻いたものや、手や足に巻き付けたもの、どくろを首や胸に掛けた像もあります。

日月:塔の上部左右に付くものが多く、夜を徹して行われた関係から日や月に対した信仰の表れだと思われます。

瑞雲:めでたい時にかかる紫色の雲のことで、日月の周りに彫られる場合があります。

 二鶏:青面金剛には、よく雌雄一対の鶏が刻まれていますが、これは申の次ぎの日、すなわち酉の日になるになるまで籠るからだといわれている他、夜を徹して朝に鶏の声を聞くまで念仏を唱えるからだというような説もあります。

邪気:災いや悪行を制する青面金剛のシンボルとして、足の下に踏みつけられている。

三猿:三猿を三尸の虫になぞらえ「見ざる・言わざる・聞かざる」のことわざから三匹のものが多く、「天帝に罪を報告させない」という意味へのこじつけもあるようです。
三尸:三尸=ショケラと考えられ、青面金剛が髪の毛を掴んでぶら下げている場合が多い。地域によっては庚申待ちの晩に徹夜をせずに寝てしまう場合、床の中でつぎのような呪言めいた呪文を三度諳んじなければならないとされています。

その呪言は『ショケラよ、ショケラ、寝たかと思って見に来たか、寝たれど寝ぬぞ、まだ目は寝ぬぞ』)。ショケラは庚申さんの弟子と言われて庚申の夜に人々が寝るか否かを監視しているので、一晩中寝ないで夜明しをするのが良いわけですが、この呪言を誦えれば例え寝てしまっても寝なかったと同じ効果があるというものです。

猿田彦神

庚申信仰はまた神道猿田彦神とも結びついていますが、これは「猿」の字が「庚申」の「申」に通じるからだという説があります。ただし諸説あって他にも、記紀神話天孫の邇邇藝命が天照大御神の命を受けて降臨する際に、猿田彦が道の露払いをしたことから、災いを払う力があると考えられ、道の神、旅人の神と考えられるようになったためとも言われていす。また、道祖神と同一視されていますが、これも庚申塔と同様に村の辻や境界に置かれることが多かったので、両者が次第に結びついていった側面もあると考えられているためです。さいの神として村の入り口に置かれ、盗賊や疫病の侵入から守っていました。

前回に引き続き笑楽日塾オンライン塾会から庚申塔のお話の続きで2回目でした。

庚申塔は全国各地に多数存在しているようですが、戦後の高度経済成長期に道路の拡幅工事が盛んに行われ、道端に建つ庚申塔やお地蔵様のかなりの数が壊されてしまいました。見かねた土地の篤志家が自宅の庭に移したり、地域の信心深い方たちが寺院や神社にお願いして境内に置かせていただいたとか。現在残っている石像は運が良かったものかも知れません。

なお、笑楽日塾の活動は下記ホームページに記載されていますのでご参照ください。

本ブログの内容は、著者の個人的見解も多く含まれており、著者の所属する笑楽日塾の意見、方針を100%示すものではありません。

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