第一話ではロシアのプチャーチンとアメリカのペリーが汽車模型を日本で走らせたこと、最初に汽車に乗った日本人は誰か、ジョン万次郎と蕨とエルドラド、咸臨丸でアメリカに渡ったサムライと鉄道、埼玉県人で最初に汽車に乗ったのは誰か、についてお話ししました。
今回は、第4回オンライン公開講座「鉄道のはじまり」第一話1回目12月2日(水)と2回目4日(金)・3回目6日(日)に投稿分の続きです。まだお読みになられていない方はこちらもご覧ください。
第二話では 井上勝とロンドンへの密航から始まった日本の鉄道建設についてお話しいたします
160年前、日本の侍達84名がアメリカの軍艦ポーハタン号で、咸臨丸で96名の侍達がアメリカへ渡り汽車に乗りました。それから2年後 、文久2年(1862年)ヨーロッパへ派遣された榎本武揚ら幕府の留学生はヨーロッパで汽車に乗っています。このとき、福沢諭吉も一行に加わっていました。諭吉はロシアのサンクトペテルブルグからパリまで汽車に乗っています。
この文久2年、神奈川で生麦事件が起きています。その後、薩摩と英国が戦争し、とても英国には敵わないとわかって、明治維新が早まったという説があります。
このようにして初めて汽車に乗った人たちでしたが、彼らが日本の鉄道建設を推進したのではなかったのです。それでは、一体誰がそれを成し遂げたのでしょうか。
歴史の本には伊藤博文や大隈重信がそれをやったと書いてありますが、幕末から明治への大激動の時代に、この人物がいなければ日本の鉄道建設は為し得なかったと私は確信しています。
② それは文久3年と申しますから、今から157年前、1863年5月夜半のことでございました。横浜から上海行きの蒸気船に便乗し、ロンドンへ密航しようとする5人の青年がおりました。彼らはみな長州藩士で、国の将来を思い、欧米の優れた文明を導入しようとする藩の密命によって、幕府の禁制を犯し、渡航しようとする情熱に燃えた青年たちでありました。その中に伊藤博文や、後に鉄道の父と仰がれる最年少若干21歳の井上勝がおりました。
③ アフリカ南端の喜望峰を回って、一行がロンドンに着いたのは実に4ヵ月後のことでございます。
④ 彼らはイギリスで政治・経済・文化などあらゆることを学びます。井上はロンドン大学に入学し、そこで鉱山・土木・鉄道工学を学びます。一行が日本に戻りましたのは5年後、時に明治元年1868年のことでございます。
ここで、長州の侍達が本当にロンドンで学んだという証拠があります。
ジョン・ホワイト
UCL ロンドン大学
ここに長州ファイブの侍5人についての報道記事があります。7年前に朝日新聞(2013年7月15日付け)が報道しています。
長州ファイブの顕彰碑をデザインした人です。
88歳のジョン・ホワイトさんです。次のように紹介されています。
『伊藤博文ら長州の若者5人が150年前の幕末に、英国へ密航留学した。現地で身元引受人となったユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のアレキサンダー・ウイリアムソン教授夫妻の顕彰碑が今月、ロンドン郊外の夫妻の墓地近くに建立された。
ジョン・ホワイトさんは、UCLの元副学長として顕彰碑をデザインしました。
除幕式の挨拶では、教授夫妻が伊藤らを自宅に下宿させ、社交マナーを教えたことを思い「留学生を公私ともにお世話した。これが日英交流の始まりだった」と述べました。
日英交流は英国艦隊司令官の来日(1613年)からとされますが、その後鎖国が続いたため、ウイリアムソン夫妻と長州ファイブとの出会いこそが真の両国交流の始まり、というのがジョン・ホワイトさんの持論です。ジョン・ホワイト元副学長の専門は美術史ですが「長州ファイブ」と英国で呼ばれた留学生の存在を知り、四半世紀前に来日、山口県萩市で一人の旧家を訪ね、手がかりを調べました。1993年には日本企業や研究者の協力を得て、ロンドン大学構内に長州ファイブの留学生の努力を称える碑を立てた』と報じられています。
もう一つ、同じ7年前の10日後の新聞記事があります。平成25年8月5日 朝日新聞です
この写真が、彼らがロンドンで学んだことの証明です。
2.2 鉄道建設開始
① 明治2年に鉄道の建設が決議され、翌明治3年にイギリスから鉄道技師エドモンド・モレル一行115名を招いて鉄道の建設が始まりました。
② そして遂に明治5年(1872年)陰暦9月12日、現在の暦で10月14日、日本で最初の鉄道が皆様ご存知のように、新橋~横浜(現在の汐留~桜木町)間に28.8キロメートル開通するのであります。
以来148年間世界をリードする鉄道王国に成長した過程は、そのまま近代日本発展の歴史でもあります。
以上が第二話日本の鉄道の始まりです。
ここまでが日本の鉄道のはじまり第一話『産業革命と鉄道』、第二話『ロンドンへの密航から始まった日本の鉄道建設』でした。10日(木)には第三話『新幹線電車発祥の地』を投稿しますのでご期待ください。
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